夏の残り火
夏が終わりましたね。ついこないだ、世界柔道が地球の裏側でやっていましたね。
それに、出た選手に比べりゃ、ほんとに小さな柔道の話です。
今から、十何年も前の事。
当時、僕は中学生で柔道漬けの毎日を送っていた。団体戦、全国大会出場を目指して。
そして、夏がやってきた。
全国大会大阪府予選、僕のいたM中は府下で開かれた前哨戦には全て優勝しており、
自分たちも優勝候補筆頭と思い試合にのぞんだ。
そして、準決勝、M中対K中戦、相手も優勝候補だ。気合が入る。
先鋒戦、前日の個人戦-55㎏級チャンピョンのSを先鋒、Nが有効ポイントを
取ってリードしたまま試合を終える。
M中1勝
次は次鋒戦、僕の番だ。相手は前日の-65㎏級チャンピョンのK、
しかし階級がひとつ下だ。
監督が僕を呼ぶ
「有効でいい」
そういわれ、余計に気合が入る。
「はじめっ」
審判がそう言い、三分間の試合が始まる。さぁ、まずは組み手争いだ。
柔道というのは、「組んだら強さがわかる」とよく言うように
組んだ瞬間、経験則でもあるんだが、たいてい相手の強さがわかるスポーツだ。
Kと組み合う。
「勝てるっ」組み合った瞬間、変な違和感と共にそう感じた。
得意技の体落としを連発する。効いているが、ポイントは奪えない。
試合は中盤戦に向かいかけた時。
僕が捨て身っぽく小外掛けにいく この頃、癖になってた技だ
Kがうまく体をかわし 僕の体は肩から畳に落ちる
「やぁっ」
見上げると、審判は水平に手を伸ばし、技有りを宣告している。
そこから先の試合の記憶は、ポイントをとられたあせりからかかすんでいる。
結局、僕はKに負けた。
そして、M中はK中に負ける。2勝2敗の同ポイントながら内容負けで。
誰でも、やり直したい事があると僕は思っている。
例えば、それが一瞬の判断であれば、なおさらその思いは強いだろう。
僕にはそれが、Kに技をかけたあの瞬間であり、あの三分間だ。
あの日から三年間近くの間、僕は自分を責め続けた。
あの一瞬を
何度も、何度もあの試合を思い出し、そして何度もシュミレーションするのだ。
勝てていたと
なんともいえないあの違和感から思い出し、あの試合をするのだ。
僕の中で永遠に終わらない、あの三分間が始まる。
夏になると、あの日、青畳の上に何か置き忘れていたような気がして
あの試合を思い出す。
(宮智誠一)
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